結論から言うと、運送会社の求人にはウソの内容が多く含まれています。ですが、すべてウソということではありません。何がホントで、何がウソなのか。それを見抜くポイントについて解説します。
はじめに
私は過去に営業所長として求人を掲載し、年間20人以上面接してきました。ブラック企業でなくとも、運送会社は拘束時間が長くなりがちで、休日も不定期だったりします。なので、どこの会社も何とかいいことを言ってアピールし、応募を増やそうとします。その中で自分の会社だけが正直に、「うちの会社は長時間労働をさせます。仕事はとてもハードです。」なんて掲載しても応募は一件もきません。
応募がなくて困るのは求人情報会社も同じで、他の地域の担当者や別の媒体より少しでも多くの応募、採用につながるように、様々な提案をしてきます。担当者と試行錯誤した結果、求人の内容と実際の勤務時間、休日などにズレやニュアンスの違いが生じてきます。
勤務時間のウソ・ホント
例えば、8時~20時の勤務だと、拘束時間は12時間ですが、集荷と配達の間に長く休憩や待機がある場合、実働8時間、という掲載内容になります。
仕事内容のウソ・ホント
「バラ積みなし!とても楽な仕事です!」という売り文句をよく目にしますが、これもウソの可能性があります。そもそも「バラ積みなし」が必ずしもいいことではありません。
休日の注意ポイント
休日の欄にも事実とは異なる内容が掲載されています。「週休2日、年間休日◯◯日」など、掲載内容のどこに注意すべきか。いくつか例にしてみます。
掲載例 | 事実 |
---|---|
土日祝休み、年間休日120日以上 | 土日104+祝日16=120日+お盆、年末年始 |
週休2日、年間休日104日 | 土日祝関係なく週休2日で、それ以外の休日がとれない可能性有 |
日祝休み、大型連休あり、年間休日100日以上 | 日曜52+祝日16=68日+大型連休32日以上? |
週休2日制、土日休み | 募集している便が土日休みなだけで、他の便は土日も稼働している可能があるので、要確認。 |
数年前までは年間休日80日という掲載も少なくありませんでしたが、それでは応募がこないため、近年はほとんど見かけません。働き方改革の企業努力や、掲載内容に試行錯誤しているようです。参考までに、私が以前勤めていた会社は年間休日60日でした。現在は90~100日程です。
厚生労働省の調査によると、令和5年度の全業種、年間休日数は平均110日。運輸業の有給取得日数が平均を下回っていることと、平成29年の業種別調査で運輸業の年間休日数が106日だったことから、令和5年度年間休日数も平均以下であると予測できます。「運輸業」には鉄道、航空会社、旅客なども含まれるため、運送会社はさらに低水準と考えられます。
つまり、年間120日休める会社はごく一部で、それは運送会社に限ったことではありません。会社としては週休2日、年間休日120日を予定していても、繁忙期に休日出勤をお願いすることもあります。その結果休日が掲載内容と違ってきてしまいます。なので、掲載内容をあまりあてにせず、有給取得実績も含め、面接時にしっかり確認しましょう。
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」より転載
担当車両のウソ・ホント
乗り回しが嫌な人は、運転手1人に1台の担当車両があるかどうか確認しましょう
まとめ
以上のように、求人の掲載内容にウソを載せている会社があります。すべてに共通する対処法として、重要なことは面接時に質問し、「具体例」をあげてもらうことです。
・1日の流れを具体的に説明していただけませんか?
・残業手当や歩合が月平均どれくらいになるのか、給料の内訳を教えてください。
会社としても入社後のトラブルは避けたいので、正直に答えてくれます。
不安なことがあれば納得できるまで説明してもらい、その会社が自分には合わないと感じたら無理せず後日、電話で自分からお断りしましょう。
運送業の仕事は就業時間、扱う荷物、車種など会社や取引先によって多岐にわたります。そのため、会社の「ウソ・ホント」を見抜けさえすれば、自分に合った働き方が必ず見つかります。積極的に多くの会社で面接を受けてみてください。
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