近年、運送業会では、慢性的な運転手不足に悩まされています。2024年問題もあり、多くの会社が求人募集しています。運転手の仕事に興味がある人にとっては、転職しやすい状況といえます。
しかし、求人の内容をみても仕事内容がよくわからなかったり、勤務時間や給与も幅があってはっきりしない会社ばかり。結局どの会社がいいの?という人のために、失敗しない会社選びのポイントと面接で確認しておくべきポイントについて解説します。ブラック企業に入社して後悔しないように、ぜひ参考にしてください。
面接前にしておくこと
面接に行く前に、パソコンやスマートフォンでチェックできる事前準備について3つ紹介します。
まずはGoogle検索でホームページをチェック
検索してみるとわかりますが、会社のホームページ以外にもFacebookや掲示板の書き込み、ネットニュースなどがヒットします。YouTubeで「〇〇運送に煽られた」なんていう動画が出てくることもあります。会社のホームページを見つけたら以下のポイントをチェックしましょう。
- 創業年
- 従業員数
- 車両台数
- 取引先
創業年
創業して数年で大きくなっている会社は勢いがあり、台数が増えるにつれ新しい仕事が増え、会社と一緒に成長できる面白さがあります。しかし、長時間労働、人件費を削る、整備コストを削る、安い運賃で仕事をとってくるなど、一概には言えませんが経営的に無理をしている可能性があります。古くからある会社を押しのけて仕事を増やすのは容易ではありません。
逆に創業から何十年もたっているのに、台数がそこまで増えていない会社は、仕事の幅を広げるよりも、今いる従業員と取引先を大切にする社風がうかがえます。
従業員数
従業員数は単純に、その会社の魅力を測る指標になります。何も良いところがない会社で働いていたい人は多くはないでしょう。
車両台数
車両台数をみてわかるのは、従業員100人に対して車両数が40台なら1台を2人以上で乗り回している会社です。逆に車両数100台に対して従業員数が80人なら人手不足の会社であると推察できます。どんな車両があるのかを見ておくのもいいですね。
取引先
取引先がわかれば、運んでいる荷物がどんなものか、建材なのか食品、飲料水なのかくらいは想像ができます。
国土交通省のサイトで会社名を検索
国土交通省のサイトで行政処分情報が調べられるので、検索しておきましょう。過去の法令違反の内容などが調べられます。
事業者の行政処分情報検索 | 自動車総合安全情報国土交通省自動車交通局の提供するサイトです。自動車交通の安全を目指した取り組みや交通事故被害者救済対策の紹介をしています。
面接時の基本的なマナー
面接時のマナーに自信がない人は、前もって調べ、相手に失礼のないように心掛けてください。運転手にとって、あいさつや言葉づかい、身だしなみなどの基本的なマナーは非常に大切です。外に出てしまえば、会社の目は届きません。信用して大事な荷物を預け、取引先に一人で行かせても恥ずかしくないような人かどうかを見極められます。当然、遅刻は厳禁。
違反歴は必ず聞かれます。免許証番号から運転経歴証明書を取り寄せて調べられるので正直に答えましょう。
面接で確認すべきポイントと注意するポイント
ここからは、面接時に確認すべきポイントと注意ポイントを9つ紹介します。
事務所の雰囲気、掲示物の確認
面接には少なくとも約束の5分前にはつくようにしましょう。事務所を訪ね、担当者が来るまで時間があるようなら点呼場や掲示物など、事務所内の雰囲気を見ておきます。点呼場にアルコール検知器が設置されているか、その日の注意事項や引継ぎ事項が掲示されているかなど。掲示板やホワイトボードには安全に対する呼びかけや、教育資料が掲示してあるか。協定書、就業規則がいつでも運転手の見られる所にあるかは特に重要です。
仕事・作業内容
トラック運転手の仕事・作業内容は取引先や荷物によって多種多様。パレットで積んでパレットのまま配達する仕事もあれば、すべて手作業でバラ積する作業もあります。面接で説明されますが、その会社の仕事・作業内容が自分の体力や性格に合っているかは会社選びの重要なポイントです。海上コンテナのように全く荷物に触らない仕事もあります。
給与体系
給与体系にはいくつかのパターンがあります。面接時に説明があるので詳しく聞いておきましょう。
基本給+残業代+各種手当
この給与体系が一般的ですが、その割合は会社によって違いがあります。基本給のところで、有給の取り扱いや賞与の計算にもかかわってくる可能性があるので、よく確認しておきましょう。
時給・日給
毎日同じルートで同じ荷物を運ぶような仕事では「時給」や「日給」で計算する会社もあります。決まった時間で安定した仕事がしたい人におすすめです。
歩合制
日によって様々な荷物、集配先へ行くような仕事では、「歩合制」が広く取り入れられています。歩合制であっても、法律上、最低賃金を下回ることはないので、より多くの稼ぎが期待できます。トレーラーで歩合制だと、仕事内容によっては年収700~800万以上になります。
給与体系で見落としがちな注意ポイント
- 残業代
- 高速代
- 研修期間
残業代
残業代の取り扱いで、「みなし残業代(前払い残業手当など)」として、時間に関係なく毎月同じ額にしている会社があります。残業がほとんどないような仕事ならいいのですが、ブラック企業にありがちな給与体系なので、注意が必要です。
高速代
高速道路を使用する仕事で注意したいのが、高速代は全額会社が払ってくれるのか、というポイント。会社が指定した区間以外は運転手の自腹、という会社も少なくありません。道が混んでいて配達に遅れそうだから高速を使用し、あとで会社に請求しようとしても払ってもらえない、というトラブルはよくあります。基本給がよくても、高速代が引かれるのであれば、それも込みで考えなければなりません。
研修期間
研修期間の給与は通常の金額より低く設定しているので、要確認です。その期間が1週間なのか数カ月なのか。それによって収入に大きく影響します。
就業時間、休日
運転手の就業時間、休日は取引先や仕事内容によって全く違ってきます。休日についても担当する仕事によって、曜日が決まっている場合と、前日にならないとわからない場合があります。
- 近距離、地場配送
- 長距離
- 定期便、ルート配送
- 不定期便、フリー
近距離、地場配送
近距離、地場配送では夜中に出勤して午前中に退勤する仕事や、早朝出勤、夕方退勤などがあります。
長距離
長距離になると、夕方から夜に出勤して積込み作業をし、夜中のうちに目的地まで運転、午前中に配達を完了して車内で休息、という運行内容が一般的です。
定期便、ルート配送
定期便やルート配送といわれている仕事は、1週間~1ヶ月先まで配車予定が組まれています。
不定期便、フリー
取引先からの依頼が日によってかわる不定期便や、フリーといわれる仕事では、前日または当日に荷物の量が確定してから配車が組まれます。
毎日同じ仕事をしている定期便が安定していて自分の生活に合っているか、色々な集配先や荷物を扱ってスキルアップするか、なども会社選びのポイントになります。
事故の取り扱い
運転手の仕事についてまわるのが「事故」。人身事故や重大事故を起こす人はごく一部ですが、物損や自損事故、荷物事故は多かれ少なかれ必ずあると思っていいでしょう。もし事故を起こしてしまった際の修理費、病院代、損害賠償などの対応は会社によって違うので必ず確認してください。
一般的な会社では保険で支払われます。その代わりに無事故手当が引かれたり、ボーナスの査定に影響します。ですが、中には全額運転手に支払わせるブラック企業もあるので注意。保険は使うけど免責分は運転手に支払わせる、という会社も多くあります。
担当車両
車両ごとに担当の運転手が決まっているか確認しましょう。長距離は1人1台が一般的です。地場で日勤と夜勤がある仕事では1台2人になります。担当者を固定せずみんなで乗り回す、または新人だけ乗り回し、という会社もあります。
所属している運転手について
ホームページに従業員数が掲載されていない場合は確認しましょう。10年以上勤めている人が何割いて、入社して1、2年の人が何割いるのか。入れ替わりの多い会社か、長く働きやすい会社かどうかの参考になります。
物流の2024年問題について
運転手を目指す人にとって2024年問題は非常に気になるところだと思います。自分が安心して働く為に、この問題についての対策、具体的な取り組みなどを質問してみましょう。
まとめ
では、これまでのおさらいをしましょう。
会社選びに失敗しないよう、以上のポイントを忘れず面接に臨んでください。
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