長距離ドライバーは稼げる?【年収・運賃・経費等・地場との比較を徹底解説】

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トレーラーの運転手で2児の父です。運送業の経験を活かした情報発信をしていきます。
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長距離ドライバーの年収

長距離ドライバーの年収は450~750万です。

なぜ年収に幅があるのでしょうか。それは、長距離ドライバーだから稼げる、というわけではないからです。

その理由について、地場(近距離·日帰り運行)と比較しながら解説していきます。

長距離と地場の運賃を比較

まずは運賃を比較してみます。

例えば、長距離運行の大型トラックで東京~大阪の運賃は約¥70000~90000です。平均¥80000程になります。

地場の大型トラックの運賃は1運行¥50000前後、または¥20000~¥30000の運行を1日に2.3本運行して¥40000~¥70000です。平均¥55000程の売上になります。

1ヶ月の稼働日数を仮に22日とすると

1ヶ月の売り上げ

東京~大阪  ¥1760000

地場     ¥1210000

売上だけ見ると長距離の方が稼げていますよね?しかし、その売上が全て利益になるわけではありません。

ここからは、運行にかかる経費について解説していきます。

長距離と地場の経費を比較

高速代

長距離運行では、走行時間を短くするため、高速道路を多用します。そうすると当然、経費としてかかってくるのが高速料金。

「長距離」を東京から大阪とし、大型トラックの運行を例にします。

東京~大阪

通常料金   約¥23000

深夜割引     約¥15000

地場1日

通常料金 ¥0~¥15000

深夜割引 ¥0~¥8000

これを1ヵ月、稼働日数22日で計算すると以下のようになります。

東京~大阪

通常料金 ¥506000

深夜料金 ¥330000

平均 ¥418000

地場

通常料金  ¥330000

深夜料金  ¥176000

平均 ¥253000

燃料代

運送会社の経営を大きく左右するのが燃料費です。

大型トラックの燃費を1リットル3.5kmとして計算し、長距離と地場の燃料代を比較してみます。

東京~大阪

距離   約530km

使用燃料 約151リットル

地場

一日の運行距離  約250km

使用燃料   約71リットル

1ヶ月の稼働日数を22日、軽油1リットル¥140とすると

1ヶ月の燃料代

東京~大阪  3322リットル ¥465080

地場     1562リットル  ¥218680

1台あたり1ヵ月に軽油2000リットルを使用するトラックを100台所有している会社だと、1リットル10円値上がりしただけでも、1ヵ月200万円の燃料代が余計にかかります。

燃料費が高止まりしている昨今、長距離運行を主な仕事としている会社には厳しい現状と言えるでしょう。

タイヤ代

大型トラックのタイヤの寿命は運転や道路にもよりますが、3~5万キロ前後です。1台に10本、または12本装着します。

1本¥50000×10本で計算すると

長距離は約半年で交換となるので、年間20本、約¥1000000かかります。

地場だと約1年で交換なので、年間約¥500000です。

 

12で割ると1ヶ月のタイヤ代を算出できます。

1ヶ月のタイヤ代

長距離  ¥83000

地場   ¥41500

車両経費

大型トラックの車両価格は、車種や装備によって異なりますが、¥1800万~¥2500万です。

車両価格を¥2000万とし、長距離は10年、地場は20年を寿命として計算し、1ヵ月の車両経費を算出します。

長距離の車両経費

¥20000000÷120ヵ月=¥166000

地場の車両経費

¥20000000÷240ヵ月=¥83000

会社の利益

1ヶ月の売上からこれまでの経費を引くと以下のようになります。

売上-高速代-燃料代-タイヤ代-車両経費
長距離1760000-418000-465080-83000-166000=\627920
地場1210000-253000-218680-41500-83000=\613820

会社によって金額が大きく違うため省略しますが、その他にも整備・修理費、事務所経費、駐車場代等があります。

それら全て差し引いた金額におさまるようにドライバーの給料が設定されています。そして、残りが会社の利益となります。

以上のように長距離と地場の稼ぎがあまり変わらないことがわかります。

では、どこで年収の差が出てくるのでしょうか。

トラックドライバー特有の手当

給料には残業代や通勤手当て等の他に、ドライバーならではの手当があります。

  • 長距離(宿泊)手当 / 1泊¥1000~¥3000
  • 手荷役(バラ積・バラ卸)手当 / 1回¥1000~¥5000
  • 資格手当(危険物取扱者、大型特殊、運行管理者、フォークリフト等) / 1ヶ月¥1000~¥20000
  • 無事故手当 / 1ヶ月¥10000~¥30000
  • 愛車手当(洗車、掃除等の手間賃) / 1ヶ月¥10000~¥30000

手当の名目や内容、金額は会社によって様々ですが、給料に大きく影響します。

私が現在所属している会社は地場の運行で1日に2~4本運行しており、手荷役手当が1日で最大4回もらえます。そのため、手荷役を数多くやるドライバーと全くやらないドライバーでは、1ヶ月の給料で約20万円の差があります。

運賃が割高な運行

精密機械等の高額商品は運賃も割高になります。また、手荷役や重機の積卸、活魚、危険物の運搬のように、特殊な技能や資格、特殊車両が必要な運行も運賃は割高です。

時間を金に換える

貨物運送事業法によって、拘束時間や残業時間、運転時間は日、週、月、年単位で細かく決められています。

その時間のギリギリ、またはオーバーする運行をすることによって、売上を伸ばす会社もあります。

東京から大阪の運行例を前述しましたが、兵庫や岡山のように、大阪よりさらに長距離運行になれば時間は長くなりますが、運賃は高額になります。地場でも距離や運行回数が多くなれば、より稼ぐことが可能です。

まとめ

以上のことから、長距離ドライバーだから稼げる、というわけではないことがお分かりいただけたかと思います。

売上から経費を引いた金額がドライバーの給料の元となります。

そして、給料に大きく影響するのは、手当、運賃、時間です。

しかし、割の良い運行を荷主から任されている会社は限られています。

そういった会社に勤めることができたとしても、ベテランドライバーが担当していて、すぐには運行を任せてもらえないでしょう。長く勤め、実績と信頼を積み上げるしかありません。

 

長距離ドライバーに興味があり、転職を考えている人は、仕事内容や運行時間が自分の生活スタイルに合っているのか、長く続けていける会社かどうかを軸に考えてみて下さい。

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